リレー01

リレー小説。タイトル未定。
参加者はkitsunoka、俺、以上。
では、先手行きます。

                                                                          • -

 目が覚めた時、そこに見えたのは薄汚れた天井とその隅に作られた蜘蛛の巣だった。起き上がるとそこが狭い独房であることに気付く。
「痛っ」
 腕に痛みを感じる。あの時の怪我が治りきっていないようだ。右腕を見ると、「No.100」と書かれている。いや、刻まれている。そしてそれは薄くだが赤く光っていた。忌々しい記憶が蘇る。そして理解する。これは管理番号だ。きっとこれからは奴隷として働かされるのだ。
 No.100は古びたベッドから降りて立ち上がる。足にも痛みが走ったが、大した怪我ではないようだ。それに傷には包帯が巻いてある。あまり衛生的なものではなかったが。
 部屋の中を見回す。出入り口は一つだけ。重い鉄の扉が置かれている。全体的に錆びついていて、普通に開けるのにも苦労しそうだ。押したり引いたりしてみるが、当然堅く閉ざされている。
 部屋の中は全体的に薄暗く、天井から裸電球がぶら下がっているだけだ。窓も無く、汚物入れと、ベッドがある以外は何もない部屋だった。
 No.100はベッドに座って考える。どうやってここから脱出するか。どうやって復讐を果たすか。どす黒い感情が心を満たしていく。村を襲ったあいつらをどうすれば殺せるのか。いや、殺すだけじゃ足りない。ありとあらゆる苦しみを味あわせてやらなければ。そうでなければ、目の前で死んでいった家族に申し訳が立たない。
 しかし良い案は浮かばなかった。そもそも情報が少なすぎるのだ。ここはどこなのか。どうして殺さずに連れて来られたのか。一体何をさせるのか。しかし嫌な予感だけは纏わりついていた。気持ちの悪いじめじめとした感覚が。
「No.100、出ろ」
 突然扉が開かれた。そこには猛禽の顔をし、首から下は人間のモンスターが、短い棒のような鞭を構えて立っていた。その鋭い視線は、どうやって理由をつければこいつを殺せるだろうか、とでも考えているように冷たく殺気を纏っている。
 こいつを魔法で殺してしまえば。No.100は考える。しかし敵はこいつ一人ではない。今の状況でこいつを殺しても、他の奴に殺されるだけだ。それに。右腕を見る。赤く光る刻印。そこからは魔力が感じられた。奴らだって馬鹿じゃない。魔法を使えないように封印を施しているはずだ。この刻印はきっとその証。
 ならば抵抗をする意味も無い。No.100はあくまでも従順な素振りをして、看守らしい魔物の後をついて行った。その心には、いつか復讐してやるという陰惨で揺るぎない思いを抱いて。